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早春のソウル1

----- Original Message -----
送信者 : "行政書士 石田 隆章" <ishida-t@gyosei.or.jp>
宛先 : "IGKフリー" <igkfree@igk.gr.jp>
送信日時 : 2000年3月1日
件名 : [igkfree 10066] 早春のソウル 1
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おばんです、弘前の石田です。

私の高校の同級生にA君と言う男がいます。

彼は、大学を出てから仙台でサラリーマンをしていたのですが、28歳のときに、仕事中の交通事故で両眼とも失明してしまいました。

当時、上の娘はまだ3歳か4歳。奥さん(中学の同級生、恋女房)の嘆くまいことか。夫の入院中、奥さんが毎日泣いて暮らしていたところ、娘の「ママ、そんなに泣いてばかりいてもパパは喜ばないよ」との一言で目が醒め、夫婦とも積極的に生きることに決めました。

彼はその後、リハビリに努め、鍼灸マッサージ師の資格を取り、故郷の弘前で開業しました。早速、弘前JCに入会してもらい、最後は副理事長まで勤めました。もう2〜3年早く入会していれば、日本JC初の(多分)全盲理事長が誕生していたところでした。

目が見えないとどうしても運動不足になるため、彼はマラソンを始め、平成7年の年にはホノルルマラソンにも出場しています。私は通訳兼ガイドで同行しました。彼は42キロ余りを6時間半で完走しました。

昨年の暮れのある忘年会の帰り(A君はハンデをものともせず、可能な限り、あらゆる会合に出席する)、とあるスナックで二人して飲んでいるとき、A君がしみじみと語り始めました。

    なぁ、石田、お互い50の坂を越えたなぁ。

      ああ、あっという間だったなぁ。

    おれも28の時に思いがけず突然失明して、今日まで
    無我夢中でやってきた。振り返ってみると、この日まで
    旅行らしい旅行などしたことがなかった。
    確かにホノルルには行ったけど、あれは走りに行っただけで
    旅行した気分は全然ない。

      うん、うん。

    子供達も大きくなったし、おれもお前みたいに国の
    内外を見て歩きたくなった。

      うん、うん。でも、見て歩くったって、
      お前、どうやって見るんだよ?

    はは、その土地の空気に触れ、その土地の匂いを嗅ぎ、
    その土地の喧騒を聞くのが見ることになるんだよ、
    おれの場合。

      ふむ。ふむ。なるほどな。

    で、石田、旅慣れてるお前を見込んで頼みがある。

      ぎく。な、なんだよ、あらたまって。

    これからは、一年に一回くらい、お前、俺をどっかに連れてけ。

      げっ・・・どっかったって・・・
      う〜ん、国内旅行は高くつくしなぁ・・・
      冬季間はシーズンオフで、青森ソウル間が安いから
      それにすっか・・・

    おお、いいとも、いいとも、それにしよう。段取りしてくれ。

と言う訳で、懇意の旅行社に相談してみると、6人まとまれば専用バスと運転手とガイドをつけます、とのこと。そこで、共通の友人達に声をかけると、ファミリーも含めてあっという間に総勢11人に膨れ上がってしまった。A君の人気の程が分かろうというもの。

左から石田、A君夫妻、高校後輩のI君。
《左から石田、A君夫妻、高校後輩のI君。私の顔が黒く映っていますが、これはフラッシュの加減でほんとは私は色白なのです。》

かくして、A君をソウルに連れていく会会員一同はさる2月25日金曜日の朝、青森空港へと向かったのでした。

to be continued